各部署との調整役である看護師

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医療現場の苦労といえば、患者の命を預かる仕事の重さと言われがちですが、それだけではありません。各部署との調整能力の問題も挙げられます。医療現場に出入りする職種は大変多く、それぞれにやるべき仕事があります。例えば医師は一人でたくさんの患者を受け持っており、一人一人の治療方針を決定する責任があります。また、放射線技師は病院全体の患者の放射線検査を担っており、薬剤師は病院中の調剤を引き受けたり、服薬指導の仕事もあるでしょう。さらに、栄養士やリハビリスタッフ、一般にはあまり知られていませんが、メディカルソーシャルワーカーという医療職も存在しており、それぞれが専門職として活躍しています。

そしてこれらの医療職と患者やその家族との橋渡しをするのが看護師です。患者と一番接する時間が長いのが看護師であることから、患者は自分の希望をまず看護師に伝えてくることが多いでしょう。患者にとって看護師こそが、医療職とのパイプ役であり、窓口になります。そのため、「検査までどれくらい待たなければならないのか」や、「栄養指導の時間を変更してもらいたい」など、要望や質問は看護師に集約されます。そこで看護師が上手く立ち振る舞えるかどうかで、患者のケアの流れが変わるといっても過言ではありません。

看護師は迅速に各担当者と連絡を取り、患者を待たせることなく満足いく結果を得なければなりません。そのためには、日頃からいかにコミュニケーション能力を発揮し、良好な人間関係を構築しているかが大きなポイントになります。ものの言い方一つで人の機嫌を損なうこともありますし、笑顔一つで仕事がスムーズに行くこともあります。医療現場の大きな流れを円滑にできるかどうかは、看護師の調整能力にかかっているので、その分たくさんの苦労を強いられる業務といえるかもしれません。